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父が選んだ「行き先」 [おくすりばこ]

間に、友引の日があると、ちょっといろいろといいことがある。
ぽっかり空いた時間に、雑談や、思い出話ができたりする。

「葬儀が済んだら、父の遺骨はどうするか?」
実家に1人で置くわけにもいかず、
長男である兄のところ(鎌倉)か?
お盆が終わったばかりで、祭壇も片づけていない私のところ(藤枝)か?
いろいろな道具も揃っているし、7日ごとのすることもやったばかりだし、
父は藤枝で預かろうか?ということになりかけた。
ところが、翌日の話では、やはり兄のところの方が…、と迷い、
鎌倉行きが濃厚になった。

その結論は…、父が自分で決めた!



葬儀の日の朝、最後にお棺に入れてあげるものを並べて、
これらを入れられるか?、いつ入れるか?担当者に訊いた。

もう、今から入れておいてもいいですよ、と言われたので、
紙パックのお酒、インスタントコーヒー、赤飯のおにぎり、
芋けんぴ、かりんとう、みかん…、好きだった食べ物の他に、
ジャケットと帽子を父の上に掛けてあげた。
そのジャケットは、父がちょっとしたお出かけの時に、よく着ていたものだった。
もしかしたら、何か入っているかも?と思って、ポケットを点検した。
ひょっとしたらおこづかいでも…などと、出来心のような気持ちで手を入れたのに、
出てきたものは、血圧測定の紙と…、意外なものだった。

ひとつは、二つ折りにされた「転居葉書」。
もうひとつは、「大船」行きの切符と、「鎌倉」行きの切符。
「転居葉書」は、平成9年4月、兄が家を新築したときのもので、
切符は、平成10年5/16のものだった。
そのとき、父は兄の新居を訪ねるべく、1人で出かけたが、
車中で一緒になった鎌倉に行く方と話が弾んだために、
「大船」で降りることを忘れて、つられて「鎌倉」まで行ってしまった。
予定時間に降りなかった父を捜して、兄たちは大変な思いをした。
そのときは、無事に遭遇できてよかった!だけで終わっていたが、
その時、改札口で回収されなかった切符が、長い長い旅を終えて、
12年後、このジャケットのポケットから、出現したという訳だ!

これは、まったく、偶然のできごとなのだけれど、
なぜか、もう語れない父の望むこと!行きたいところ!!なのではないか?
と妙に納得してしまった。
「若ちゃ」これは、でき過ぎだよ!!

というわけで、父の遺骨の行き先は、迷わず兄のところに決まった。

本当に、この4日間、小さなドラマが満載で、父の葬儀が終わった。

0909_1.jpg

父の戒名は、「円覚清閑信士」。
偶然だけれど、「閑」の字が入っているので、
晩年はあまり使わなかった「白杖」を、「一閑張り」してみようと思った。

0909_4.jpg


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みつです。

「若ちゃ」のできすぎた話に唸りました。
天国で安らかにお過ごされるのでしょうね。
冥福をお祈りします。

by みつです。 (2010-09-09 22:20) 

ぱらぽん

みっちゃん、こんなにも早く再会できるとは…!?
お目にかかれて、とても嬉しかったです。
全くの偶然なのですが、
なぜか、意味があるように思いこんでしまうのは、
こちらの勝手なんですが…。

父は、向こうに行って、目も見えるようになって、
母や三線おやじと、再会していると思われます。
by ぱらぽん (2010-09-09 23:16) 

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